リフォーム詐欺に遭われた方の話によると、 ・近くで仕事をしていますが ・通りかかったら気になって… ・水道局の方から点検にまわっています など、言葉巧みに近づき、いかにもこのままほっておくと、 大変な事になるといって脅かされるそうです。 なぜ、そんな脅しにのってしまうのでしょう?
昔は、どの町内にも工務店があり、近所の仕事はたいていその大工さんが 手配しました。近所の仕事だから手抜きはできません。もし、痛んでいたり したら、すぐに行って直したりしたものです。しかし、今は、恥ずかしいか らとか、大手の方が安心とかいう理由で、近所の工務店に仕事を依頼するこ とは少なくなりました。 逆に近所の大工さんは、大手住宅メーカーの下請になり、遠い現場にいく ようになりました。住宅が職人さんの『作品』ではなく、車やテレビと同じ 『商品』になってしまったのです。ここに、リフォーム詐欺が横行する土壌 があります。 わたしたちは、古家にお住まいの方が、自分で住まいの傷みを見分ける事 ができるように、簡単でわかりやすい点検方法をお伝えできればと思ってい ます。
日本では、建てられてからまだ2〜30年しか経っていないのに、どん どん家が潰され、建替えられています。 ・資源を大切にしよう ・もったいないの精神で ・地球環境を守ろう と、一方では言われているのに、なぜでしょう?
みた目は古くても、昔の人が一所懸命に作った家…。早めに手入れし、 大切に使えばまだまだ住み続ける事ができるのです。 昔の人々は、お住まいを大切に守ってきました。年末には大掃除をし、 畳を上げて風通しをし、痛んでいるところが見つかれば早めに修理して いました。 また、瓦の差し直しや柱の油拭きなど、こまめに自分で手入れしたも のです。自分で手入れすれば愛着もわきますし、建築知識も身に付きま す。 よく「私の家はボロ屋だから…」とおっしゃられるかたがいらっしゃ います。そんなことを言わないで、手入れをすることでできるだけお住 まいを大切にしていただきたいのです。 わたしたちは、そうした手入れをするために必要な知識や技術を少し でも提供できればと思っています。
京都には、戦前から残る古い町並みがまだまだ残っています。古いお 住まいは、 ・お隣に延焼しないように火袋を ・漏水しても家が傷まないように便所は外へ ・地震のときの揺れを考えた柱の配置 を考慮して建てられています。 それを、個室が欲しいからといって無理に柱の位置を変えたり、寒いか らといって風通しを考えずに床を貼ったりすると、お住まいが傷みやすく なります。
単に安価だからといって、京町家の一室に既製品の建具を入れ、クロス 貼大壁の部屋をつくっても、長い目で見ると痛みが早くなるかもしれませ ん。お孫さんの代に、余分な費用がかからないようにしたいものです。 荒壁(竹を編んだ塗壁下地)のお住まいは、やはり塗り壁で仕上げ、壁 の呼吸により調湿効果を発揮させたいものです。 また、通り庭に床を張る場合は、少々費用がかかっても汚水配管を入れ変 え、将来漏水しないように配慮したい。そして、その時、柱の足元が傷ん でいたら一緒に根継補強もしたいものです。 わたしたちは、お住まいを長持ちさせ、お子さん・お孫さんの代まで快適 に過ごせるような改修の仕方をご提案したいと思っています。
京都には大変たくさんの数の古いお住まいが残っています。戦前から 建っている京町家もあれば、戦後、高度経済成長期に建てられた住宅も あります。 こうした、古い傷んでそうな建物をターゲットにしたリフォーム詐欺 被害が後をたちません。しかもそのリフォームにより、家を直すどころ か余計に痛みを早めてしまう結果になることもあり、大変な問題を引き 起こしています。 もし、一言相談いただいていたら、もっともっと安く直すことができ たのに・・・ もっともっとお住まいを長持ちさせる事ができたのに・ ・・ と思うことがたびたびありました。 しかし、現在、地域のコミュニティが崩壊しつつあり、どこに相談し たらいいかわからず途方にくれている方も少なくありません。
われわれは、設計・大工・塗装・左官・水道・・・といったさまざま な建築関連業者の智恵を集め、京都にお住まいの方が気軽に相談できる 窓口を設けたいと考えました。 1人でも多くの方の相談にのり、適正な改修方法と適正な改修価格を お伝えする事で、リフォーム被害を最小限に留めるとともに、京都の街 並みを残していきたいと考えています。